今年こそ家計を把握しようと家計簿アプリを入れて、最初の数日は丁寧に記録していた。それが一週間、二週間と経つうちに入力が滞り、気づけばアプリを開かなくなっていた。家計簿が続かないという悩みは、意志の強さの問題として語られがちですが、実際には記録の設計に原因があることのほうが多いように感じます。
続かない理由をたどっていくと、多くは「やることを増やしすぎた」ところに行き着きます。全部の支出を、細かいカテゴリで、毎日、正確に記録する。この条件を全部そろえようとすると、忙しい日が一日でもあれば崩れてしまいます。崩れたあとに取り戻すのが面倒になって、そのまま離れてしまう流れです。
この記事では、ベストアプリナビ編集部が考える「記録のハードルを下げる」ための具体的な方法を五つ紹介します。どれも完璧な家計簿を目指すのではなく、途切れても戻ってこられる状態をつくるための工夫です。今まさに止まりかけている方は、当てはまりそうなものから試してみてください。
続かないのは記録の設計に原因があります
家計簿が止まるきっかけは、だいたい似た形をしています。レシートを財布にためたまま数日過ごし、まとめて入力しようとしたら量が多くて手が止まる。あるいは、どのカテゴリに入れるべきか迷う支出が出てきて、その一件を保留にしたまま全体が動かなくなる。共通しているのは、記録するという行為が一定量の判断と時間を要求してくることです。
裏を返せば、判断と時間の量を減らせば続けやすくなります。以下では、そのための方法を順番に見ていきます。なお、そもそも記録の方式が自分に合っていない可能性もあります。自動連携型と手入力型のどちらを主役にするかで負担は大きく変わるため、家計簿アプリの選び方もあわせて確認しておくと遠回りが減ります。
方法1 カテゴリを思い切って減らす
最初に手をつけたいのがカテゴリの数です。食費、日用品、外食、交際費、趣味、被服、交通費と細かく分けるほど、入力のたびに「これはどれか」という判断が発生します。この判断が一日に何度も積み重なると、記録そのものが億劫になります。
おすすめしたいのは、まず四つか五つ程度に絞ることです。たとえば「食べるもの」「日々の買い物」「固定でかかるもの」「その他」といった大づかみな分け方でも、月ごとの傾向はつかめます。細かく分けたくなったら、続くことが確認できてから増やせば十分です。最初から精度を求めないほうが、結果として長く残る記録になります。
方法2 記録するものを絞る
すべての支出を記録しようとすると、量そのものが負担になります。家計を見直したい理由がはっきりしているなら、そこに関係する支出だけを記録するという割り切り方もあります。
たとえば、外食が多いことが気になっているなら外食だけ、コンビニでの買い物が積み上がっている感覚があるならコンビニだけを記録する。家賃や通信費のように毎月ほぼ同じ金額のものは、記録しなくても把握できているはずなので対象から外して構いません。記録の目的は網羅ではなく、変えたい行動を見えるようにすることだと考えると、削れる部分は意外と多く見つかります。
方法3 入力の場所と時間を固定する
「思い出したときに入力する」という運用は、思い出さなかった日に必ず抜けます。そうではなく、いつどこで入力するかをあらかじめ決めてしまうほうが安定します。帰宅して鞄を置いたとき、寝る前に充電器へ挿すとき、通勤電車に乗った直後など、毎日必ず訪れる場面に紐づけるのがコツです。
あわせて、アプリを開くまでの手数も減らしておきたいところです。ホーム画面の一等地に置く、ウィジェットやショートカットから入力画面へ直接飛べるようにするといった調整で、開くまでの心理的な負担は下がります。掲載アプリの中には、おカネレコのように短時間で入力を終えられることを特徴として掲げているものもあります。入力の速さを重視するなら、そうした設計かどうかを見ておくとよいでしょう。
方法4 自動化できるところは任せる
手を動かす部分が減れば、続かなくなる余地も減ります。支払いをできるだけキャッシュレスに寄せて口座やカードの連携で取り込む、レシートを撮影して読み取らせる、といった方法は、入力という作業そのものを減らす方向の工夫です。
掲載アプリでは、家計簿マネーフォワード MEが銀行やカードとの連携による自動記帳を、家計簿くふうZaimがレシート撮影での自動入力を特徴として案内しています。いずれも無料で使えるプランが用意されているため、まずはその範囲で自分の支払い方法と噛み合うかを試すことができます。
ただし自動化にも確認の手間は残ります。取り込まれた明細の分類が実態と違っていることはあるため、週末に数分だけ見直す時間を取る前提で考えておくと現実的です。連携そのものに不安がある場合は、口座連携の仕組みと確認しておきたいことを先に読んでおくと判断しやすくなります。
方法5 途切れたときの戻り方を決めておく
五つ目は、続けるための工夫というより、やめないための工夫です。家計簿は必ずどこかで途切れます。旅行や繁忙期、体調を崩した週など、記録どころではない日は誰にでもあります。問題は途切れたこと自体ではなく、そこから戻れなくなることです。
再開しやすくするために、月の初めを区切りとして意識しておくのもひとつの手です。途切れた月は集計が正確でなくても構わないと割り切り、翌月からまた記録を積み直す。家計簿は一日単位の正確さより、何か月分か並べたときに見えてくる傾向のほうが役に立ちます。数か月分そろえば、支出が増えやすい時期や、思ったより使っていない項目が浮かび上がってきます。
有効なのは、空白を埋めないと決めておくことです。抜けた期間はそのままにして、今日から再開する。過去にさかのぼって入力し直そうとすると量に圧倒されて、結局そのまま終わってしまいます。一か月のうち何日か抜けていても、傾向を見るという目的には十分に足ります。
五つの方法を一覧で確認する
| 方法 | 減らせる負担 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| カテゴリを減らす | 入力時の判断 | 分類を四つか五つに絞る |
| 記録するものを絞る | 入力する件数 | 気になる支出だけを対象にする |
| 場所と時間を固定する | 思い出す労力 | 毎日必ずある場面に紐づける |
| 自動化できるところは任せる | 手入力そのもの | 連携やレシート読み取りを試す |
| 戻り方を決めておく | 再開のためらい | 抜けた期間は埋めないと決める |
五つすべてを一度に始める必要はありません。いま一番つらいと感じている部分に対応する方法をひとつ選んで、それだけ変えてみるのが取り組みやすい進め方です。家族と一緒に管理している場合は、負担の分け方も見直す余地があります。その点は夫婦・家族で家計簿アプリを共有するときのポイントで扱っています。
まとめ
この記事の要点を整理します。
- 家計簿が続かない原因は意志ではなく、記録に必要な判断と時間が多すぎることにある場合が多いと考えられます。
- カテゴリを絞る、記録対象を絞るという二つの引き算だけでも、入力の負担はかなり軽くなります。
- 入力する場面を固定し、自動化できる部分は連携やレシート読み取りに任せると手を動かす量が減ります。
- 途切れたときは過去を埋めずに今日から再開する、と決めておくと離脱しにくくなります。
ベストアプリナビ編集部では、掲載しているアプリを目的別に絞り込める一覧を用意しています。料金や無料で試せる範囲を同じ形式で並べているので、入力の手軽さを重視したいのか、自動での記録を重視したいのかを決めたうえで候補を探すときに役立ちます。
