TOEICの勉強を始めようとしたとき、まず迷うのが「参考書を買うべきか、アプリで済ませるべきか」という点ではないでしょうか。書店には対策本が並び、ストアにはTOEIC向けのアプリが並んでいます。どちらも良さそうに見えるだけに、片方に絞りきれず、結局どちらも中途半端になってしまうという声を編集部もよく受け取ります。
結論から言えば、アプリと紙の教材は競合するものではなく、得意な場面が違う道具です。アプリはスキマ時間の反復に強く、紙の教材はまとまった時間で通しの負荷をかけるのに向いています。この違いを踏まえずに片方だけで進めようとすると、どこかで伸び悩む場面が出てきます。
この記事では、TOEIC対策においてアプリをどこに差し込むと機能しやすいのかを、教材との使い分けという視点で整理します。学習時間の配分、セクションごとの相性、そして併用するときに注意したい点まで、編集部が確認している範囲でまとめました。特定のアプリを順位づけすることはせず、組み立て方の考え方をお伝えします。
アプリと紙の教材、それぞれが得意なこと
まず両者の性格の違いを押さえておきます。同じ「勉強する」でも、扱いやすい時間の長さと、身につきやすい力の種類が異なります。
| 比べる観点 | アプリ | 紙の教材 |
|---|---|---|
| 向いている学習時間 | 数分単位のスキマ時間 | 30分以上のまとまった時間 |
| 得意な学習 | 単語や文法の反復、リスニングの聞き込み | 長文の通し読み、時間を測った演習 |
| 持ち運び | スマホ1台で完結する | 持ち歩く負担がある |
| 記録の残り方 | 自動で学習履歴が残る | 書き込みが残るが集計はしにくい |
| 本番との近さ | 画面と紙で操作感が異なる | マークシート形式に慣れやすい |
この表で注目したいのは最後の行です。TOEICは紙のマークシートで受けるため、本番の感覚に慣れるという意味では紙の教材にしかできない役割があります。一方で、平日に机に向かう時間を確保しづらい社会人にとって、アプリが担える範囲はかなり広く取れます。どちらかを選ぶのではなく、時間帯ごとに役割を振り分ける考え方が現実的です。
アプリを差し込みやすいのは反復が効く部分
TOEIC対策の中で、アプリと相性がよいのは繰り返しが効果を持つ領域です。具体的には語彙、文法の型、そして音に慣れるためのリスニングが挙げられます。いずれも短時間を何度も重ねるほうが、まとめて長時間かけるより手応えが出やすい分野です。
語彙については、TOEIC向けの単語リストが用意されているアプリを選ぶと範囲を絞れます。英語勉強アプリ mikan はTOEICや英検などの目的別コースを備えており、学ぶ範囲を最初に決めてから始められる作りです。単語アプリの選び方そのものは覚えた単語を忘れないための条件をまとめた記事で詳しく扱っています。
リスニングでは、再生速度を変えられるかどうかが使い勝手を大きく左右します。abceed はリスニングの倍速再生に対応しており、聞き取れなかった箇所を遅くして確認したり、慣れてきた素材を速めて負荷をかけたりといった調整ができます。同じ音源を何度も聞くことになる分野なので、こうした細かい操作性が学習量に直結します。
反対に、長い文章を通して読み切る練習や、本番と同じ時間配分で解き切る演習は、アプリだけで完結させにくい部分です。画面をスクロールしながら読むのと、紙面を見渡しながら読むのとでは目の動かし方が変わります。ここは紙の教材に任せたほうが、本番でのつまずきを減らせます。
市販教材をアプリ側に取り込むという選択肢
紙の教材とアプリを別々に用意すると、どちらをどこまで進めたか分からなくなりがちです。この問題への対処として、市販の教材そのものをアプリ上で扱えるサービスを使う方法があります。
abceed は1,000冊以上の教材を収録しており、AIがスコアを予測して出題する機能を備えています。手元の本と同じ教材をアプリ側でも扱えれば、家では紙で解き、移動中はアプリで復習するといった往復がしやすくなります。料金は基本無料にProプランが用意される形で、まず無料の範囲で自分の使い方に合うかを確かめられます。
ただし、収録されている教材のラインナップは時期によって変わります。自分が使いたい本が対象に含まれているかは、申し込む前に公式サイトで確認しておくのが確実です。この確認を飛ばして契約し、想定していた教材が無くて使わなくなるというのは、避けたい失敗のひとつです。
先に決めるのは教材ではなく受験日
組み合わせを考える前に決めておきたいのが、いつ受けるかです。受験日が決まっていない状態では、どこまでの範囲をどの順番で進めるかを判断できず、教材選びだけが延々と続くことになります。編集部が見ている限り、道具を探す時間が長い人ほど、実際の学習量は増えにくい傾向があります。
受験日が決まれば、残りの週数が見えます。週数が見えれば、1週間あたりに割ける時間が出ます。その時間に収まる範囲で教材を選ぶ、という順番にすると、手を広げすぎずに済みます。参考書を何冊も買ってから時間が足りないと気づくより、先に時間の枠を作ってから中身を決めるほうが無駄がありません。
目標スコアについても、現時点の実力から離れすぎた数字を置くと計画が崩れます。まずは一度受けてみて現在地を知り、そこから次の目標を置く形でも遅くはありません。アプリの中には、解答の傾向から予測スコアを表示する機能を持つものもあり、途中経過の目安として使えます。ただしあくまで目安であり、本番の結果と一致するとは限らない点は踏まえておきたいところです。
1週間の中でどう配分するか
組み合わせを決めたら、次は時間の配分です。平日と休日で役割を分けると、無理なく回しやすくなります。
- 平日の移動時間:アプリで単語と文法の反復を短時間ずつ
- 平日の夜:アプリでリスニングを聞き込む、または前日の間違いを復習
- 休日のどこか:紙の教材で長文をまとめて解く
- 試験が近づいた時期:時間を測った通し演習を紙で行う
- 週の終わり:学習記録を見返し、手を付けられなかった領域を確認する
ここで大切なのは、平日に無理を詰め込まないことです。平日のノルマを高く設定すると、達成できない日が続いた時点で全体が止まります。平日は「開けば達成」くらいの軽さにしておき、休日にまとまった負荷をかける形のほうが続きます。時間の作り方については社会人が1日15分を組み立てる方法の記事で具体的に触れています。
併用するときに起きやすいつまずき
アプリと教材を併用する形は理にかなっていますが、実際に始めるといくつか共通したつまずきが出てきます。編集部が相談を受けるなかで多いものを挙げておきます。
ひとつは、アプリを増やしすぎることです。単語用、リスニング用、文法用と入れていくうちに、どれも中途半端になります。最初は1つか2つに絞り、物足りなさを感じてから足すほうが管理しやすくなります。
もうひとつは、進捗が把握できなくなることです。アプリ側には履歴が残り、紙のほうには書き込みが残る。この状態だと全体としてどれだけ進んだかが見えません。学習時間を一箇所にまとめて記録しておくと、振り返りがしやすくなります。記録の残し方は勉強記録アプリの使い方をまとめた記事が参考になります。
三つめは、アプリの学習が「作業」になってしまうことです。4択問題をテンポよくこなしていると進んだ気になりますが、正解の理由を確認しないまま流すと定着しません。間違えた問題だけでも、なぜ違うのかを一度言葉にしておくと残り方が変わります。
まとめ
TOEIC対策でアプリと教材を組み合わせるときの要点をまとめます。
- アプリは反復、紙の教材は通しの演習と、役割を分けて考える
- 語彙とリスニングはアプリを差し込みやすく、長文と時間配分の練習は紙が向く
- 平日は軽く、休日にまとまった負荷という配分にすると続きやすい
- アプリを増やしすぎず、学習記録は一箇所にまとめて振り返る
スコアを伸ばす過程で必要になる作業は幅広く、ひとつの道具ですべてを賄うのは簡単ではありません。自分の生活のどこに空きがあるかを先に見てから、その隙間に入る道具としてアプリを選ぶと、組み合わせの形が決まりやすくなります。
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