英語を話せるようになりたいと考えたとき、多くの人が最初に迷うのが、英会話アプリで始めるか、オンライン英会話で始めるか、という分かれ道です。どちらも自宅で学べて、どちらも英語を話す練習ができる。似ているようでいて、実際に取り組んでみると体験はかなり違います。
編集部としては、この2つを優劣で比べるより、性質の違うものとして捉えるほうが判断しやすいと考えています。片方が上位互換というわけではなく、いま自分がどの段階にいるかによって、向いているほうが変わってくるからです。順番を間違えると、せっかく始めたのに苦しいだけになってしまうこともあります。
この記事では、両者の違いを費用、学習内容、時間の使い方という3つの角度から整理し、どちらから始めるとよいかをタイプ別に考えていきます。併用する場合の組み立て方にも触れます。
仕組みとしての違いはどこにあるか
いちばん大きな違いは、相手が人かどうかという点です。オンライン英会話は講師と映像や音声でつながり、その場のやり取りで会話を進めます。英会話アプリは、あらかじめ用意されたレッスンや、AIとのやり取りを通じて学習を進める形が中心です。
この違いは、返ってくる反応の質に影響します。人が相手であれば、想定外の質問や脱線した話題にも対応してもらえますし、表情や間合いといった言葉以外の情報もやり取りできます。一方、アプリは反応が一定である代わりに、いつでも同じ条件で練習でき、間違えても気まずさがありません。この気まずさのなさは、話すこと自体に抵抗がある段階では大きな利点になります。
たとえばAI英会話スピークバディは、AIキャラクターと1回5分の英会話を行う形式で、1,000以上のシーンを収録していることを公式に掲げています。相手が人ではないぶん、同じ場面を何度でも繰り返せるという性質があります。AIを相手にした学習でどこまでできるのかは、AI英会話アプリでできることとできないことをまとめた記事でも整理されています。
費用の構造が根本的に違う
費用については、金額そのものより構造の違いを理解しておくことが役に立ちます。アプリは基本的に、使っても使わなくても同じ額を払う定額型です。オンライン英会話は、レッスンの回数や時間に応じて価値が決まる性質を持っています。
アプリ側の料金の目安としては、公式に公開されている範囲で見ると、AI英会話スピークバディが1ヶ月3,980円と12ヶ月28,400円、ELSA Speakが月額3,380円と年額11,200円、英語勉強アプリmikanが無料プランに加えてLite月1,000円とPremium月1,800円という構成です。おおむね月あたり1,000円台から3,000円台に収まる傾向が見られます。
興味深いのは、両方を扱っているサービスの価格差です。スタディサプリENGLISHの新日常英会話コースは、ベーシックが月額2,178円、オンライン英会話が付く英会話セットが月額6,028円という設定になっています。人が関わる部分にどれくらいの費用が乗るのかを考えるうえで、ひとつの参考になる数字です。
| 比べる観点 | 英会話アプリ | オンライン英会話 |
|---|---|---|
| 相手 | 用意されたレッスンやAI | 講師との対話 |
| 費用の考え方 | 使用量に関係なく定額 | 受けた回数に応じて価値が決まる |
| 始めるときの負担 | 入れてすぐ始められる | 予約と時間の確保が必要 |
| やり取りの幅 | 想定された範囲の中で進む | 脱線や想定外にも対応できる |
| 心理的なハードル | 間違えても気にならない | 最初は緊張しやすい |
学習内容として得意な領域が分かれる
アプリが得意なのは、繰り返しが効く領域です。語彙の定着、決まった表現の暗記、発音の反復といった作業は、同じ条件で何度もやり直せるアプリのほうが進めやすい傾向があります。ELSA Speakのように発音を細かく判定する機能を持つアプリは、自分では気づけない癖を可視化してくれる点で、独学の弱点を補ってくれます。発音の見方についてはフィードバック機能の使い方を扱った記事で詳しく触れています。
一方、オンライン英会話が得意なのは、準備していないことを口に出す練習です。実際の会話では、相手の発言に合わせてその場で文を組み立てる必要があります。この対応力は、想定された選択肢の中で進む学習だけでは鍛えにくい部分です。話す内容を自分で決めて、相手の反応を受けて修正する。この往復が、実践に近い経験になります。
言い換えると、話すための材料をためる作業はアプリ、ためた材料を使う練習はオンライン英会話、という役割分担が成立しやすいということです。材料がない状態で会話の場に出ても、言いたいことが浮かばずに終わってしまいがちですので、この順番は意識しておくと無理がありません。
時間の使い方が続けやすさを左右する
実務的に大きいのが、予約が必要かどうかです。オンライン英会話は、決まった時刻に机の前にいる必要があります。この制約は、強制力として働くという良い面と、予定が崩れた日にまるごと飛んでしまうという難しい面の両方を持っています。
アプリは思い立ったときに開けます。移動中でも待ち時間でも進められますし、1回5分で区切れる設計のものであれば、忙しい日でもゼロにはなりません。Duolingoが1レッスン約5分で完結する形をとっているのも、この使われ方を想定しているためだと考えられます。
ただし、いつでもできるということは、いつまでもやらないでいられるということでもあります。強制力がないぶん、自分で時間を決めておかないと後回しになりやすい面があります。時間の確保の仕方については、社会人が学習時間を作る方法をまとめた記事が参考になります。
どちらから始めるとよいか
編集部の整理としては、次のような考え方が現実的です。あくまで目安であり、当てはまらない場合もありますが、迷ったときの判断材料にはなるはずです。
- 英語を話すこと自体に緊張がある、何を話せばいいか浮かばない段階なら、アプリから始めるほうが負担が少ない
- 言いたいことはあるのに口から出てこない、という段階なら、オンライン英会話で実際に話す機会を作るほうが早い
- 試験のスコアが目的で、会話の必要性が高くないなら、アプリと教材の組み合わせで十分に進められる
- まとまった時間を毎週確保するのが難しいなら、まずアプリで習慣を作ってから検討する
費用を抑えたい場合も、アプリから入るほうが試しやすい傾向があります。無料で使える範囲がどこまであるかについては、無料の英会話アプリの範囲を整理した記事にまとめています。
併用するなら役割を分ける
両方を使う場合は、それぞれに別の役割を持たせると噛み合います。平日はアプリで語彙と表現を入れ、週末にオンライン英会話でそれを使ってみる、という組み立てが分かりやすい形です。会話で言えなかった表現をメモしておき、翌週アプリ側で補強するというサイクルにすると、両方が無駄になりません。
注意したいのは、両方に同じだけの熱量を求めないことです。負担が二重になると、どちらも中途半端になりやすくなります。主軸をどちらか一方に置き、もう片方は補助として軽く回すくらいがちょうどよいバランスになる傾向があります。
まとめ
英会話アプリとオンライン英会話の違いを、あらためて整理します。
- アプリは繰り返しと習慣づくりに向き、オンライン英会話は想定外に対応する練習に向いている
- 費用は、アプリが定額型、オンライン英会話が受けた回数に応じて価値が決まる構造という違いがある
- 予約の有無は強制力にも制約にもなるため、確保できる時間の形から選ぶと無理がない
- 併用するなら、材料をためるのはアプリ、使うのは会話、と役割を分けると噛み合いやすい
編集部では、英会話アプリを学習の目的や料金、無料で試せる範囲から比較したランキングページを用意しています。まずアプリから始めてみようと考えている方は、候補を絞り込む段階で確認していただくと、選びやすくなるはずです。
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