資格や受験の学習で、テキストを読んでも内容が頭に入ってこない。そんなときに候補に挙がるのが動画講義アプリです。講師が話す形式なので、独学よりも理解しやすいという期待を持つ方は多いでしょう。実際、文章だけでは掴みにくい流れや背景を、講義であれば短時間で理解できることがあります。
ただし、動画講義はすべての人に合う形式ではありません。見ている間は分かった気になるものの、いざ問題を解くと手が止まる。何本も視聴したのに知識として残っていない。こうした状態に陥る方も一定数います。これは本人の能力の問題というより、学び方の相性の問題であることが多いようです。
この記事では、動画講義アプリのメリットを整理したうえで、向いていない人の特徴と、それでも使いたい場合の調整方法を編集部の視点でまとめます。導入前に相性を見極めておくことで、費用と時間の無駄を減らせるはずです。
動画講義アプリでできること
動画講義アプリは、講師の授業をスマートフォンやタブレットで視聴できるサービスです。多くの場合、講義とセットで問題演習やテキストが用意されており、視聴して終わりにならない構成になっています。提供の形は資格向けと受験向けで異なりますが、いずれもスキマ時間に視聴できる点が共通しています。
資格向けの例としては、KIYOラーニング株式会社のスタディングがあります。40を超える資格講座を扱い、動画講義とスマート問題集を組み合わせて学ぶ構成です。料金は講座ごとの買い切り制で、コースによって異なります。全コースに無料講座が用意されているため、契約前に講義の雰囲気を確かめることができます。
受験向けでは、株式会社リクルートのスタディサプリ 小学/中学/高校/大学受験講座が挙げられます。小1から高3までの授業動画が見放題で、テキストはPDFで無料ダウンロードできます。料金はWeb申込で月額2,178円、12ヶ月一括なら21,780円、Web申込では14日間の無料体験が用意されています。受験での組み込み方は受験勉強に学習アプリをどう組み込むかでも扱っています。
動画講義アプリのメリット
動画講義の利点は、単に「授業が見られる」ことだけではありません。紙のテキストや通学型の講座と比べたときに効いてくるのは、次のような点です。
| メリット | 具体的にどう役立つか |
|---|---|
| 速度と回数を調整できる | 理解している範囲は速く流し、難しい部分だけ繰り返せる |
| 時間と場所を選ばない | 移動中や休憩時間に視聴でき、通学の負担がない |
| 入口のハードルが低い | 読む気力がない日でも、聞くだけなら始めやすい |
| 全体像を先に掴める | 細部に入る前に、分野のつながりを説明してもらえる |
| 費用の見通しが立てやすい | 買い切りや定額など、事前に総額を計算しやすい形が多い |
なかでも大きいのは、最初の一歩を踏み出しやすいという点です。学習が止まる原因の多くは、始めるまでの心理的な負担にあります。テキストを開いて読み進めるには集中力が要りますが、講義を再生するだけなら比較的軽い気持ちで始められます。まず再生し、そのまま演習に移るという流れを作れると、学習の立ち上がりが安定します。
動画講義が向いていない人の特徴
一方で、次のような傾向がある方は、動画講義を主軸に据えると学習が進みにくくなる場合があります。当てはまるからといって使えないわけではありませんが、使い方の調整が必要になります。
- 文章を読むほうが速いと感じる人。講義の進行速度が自分の理解より遅く、もどかしさが出やすい
- 手を動かさないと覚えられない人。視聴だけで満足してしまい、演習量が不足しやすい
- まとまった視聴時間を確保しにくい人。1本が長い講義だと中断が増え、内容がつながらない
- すでに基礎知識がある人。既知の内容を通しで聞く時間が、演習に充てる時間を圧迫する
- 視聴環境が限られる人。音を出せない場所が中心だと、字幕やテキストへの依存度が高くなる
特に注意したいのが、2つ目の「見て満足してしまう」パターンです。講義は理解を助ける手段であって、理解した内容を使えるようにするのは演習の役割です。視聴した本数が増えていくと学習が進んでいる感覚を得やすいのですが、問題を解く時間が伴っていなければ、実際の到達度は上がりにくくなります。
また、すでに基礎がある方の場合、全単元を順番に視聴する必要はありません。理解が曖昧な単元だけを選んで見る、あるいは先に問題を解いて間違えた分野だけ講義に戻る、という使い方のほうが時間を有効に使えます。
合わないと感じたときの調整方法
動画講義が合わないと感じても、すぐに解約する前に試せる調整がいくつかあります。まずは再生速度です。理解できる範囲で速度を上げると、視聴にかかる時間が短くなり、演習に回せる時間が増えます。速度を上げても内容を追えるなら、そのほうが自分のペースに近いということです。
次に、視聴と演習の順序を入れ替える方法です。先に問題を解いてから、間違えた部分の講義を見る。この順序にすると、講義を聞く目的がはっきりするため、集中して視聴できます。分からないまま漫然と聞く状態を避けられるのが利点です。
3つ目は、視聴する単位を細かく区切ることです。1本を通しで見ようとせず、区切りのよいところで止めて、そこまでの内容を問題で確認する。この往復を短く繰り返すと、知識が残りやすくなります。学習量が見えにくくなる場合は、視聴と演習を分けて記録しておくと配分を調整しやすくなります。記録の残し方は勉強記録アプリの使い方で解説しています。
契約前に確認しておきたいこと
動画講義アプリは、契約してから相性が分かる部分が多いサービスです。だからこそ、無料で試せる範囲を先に使い切っておくことをおすすめします。無料講座が用意されているものもあれば、期間を区切った無料体験を設けているものもあり、形はサービスによって異なります。
試すときに見ておきたいのは、講師の話す速さと自分の理解速度の差、1本あたりの長さ、演習がどの程度用意されているか、そして音声だけで内容を追えるかどうかです。特に最後の点は、通勤中に使う予定がある方には重要になります。画面を見続ける必要がある構成だと、想定していた時間帯で使えないことがあります。
料金の形も確認しておきましょう。買い切り型は学習期間が延びても追加費用が出にくく、定額型は複数分野を横断しやすいという違いがあります。選び方の全体像は資格アプリの選び方で整理していますので、そちらもご覧ください。
まとめ
- 動画講義の利点は、速度や回数を自分で調整でき、学習を始めるハードルが下がる点にあります
- 読むほうが速い人や、すでに基礎がある人は、全単元を順に視聴すると時間が足りなくなりやすくなります
- 視聴だけで終わらせないために、演習とセットで時間を確保しておくことが前提になります
- 合わないと感じたら、再生速度、視聴と演習の順序、区切る単位の3点を調整してみてください
- 契約前は無料で試せる範囲を使い、音声だけで追えるかどうかまで確認しておくと失敗が減ります
編集部では、掲載しているアプリを目的別に絞り込める一覧を用意しています。動画講義が中心のもの、問題演習に強いもの、学習の記録に使えるものを同じ項目で並べているため、自分に足りない部分から探すことができます。
講義を受けられるアプリをまとめて確認したい方は、学習・資格アプリの一覧を見るからご覧ください。
