家計簿アプリを使っているうちに、毎月の支出は把握できるようになったけれど、自分の資産が全体としてどうなっているのかは分からないままだ。そんな感覚を持つ方は少なくありません。銀行口座に加えて、証券口座や積立、財形や社内預金、電子マネーの残高まで含めると、置き場所は思っている以上に散らばっているものです。
そこで名前が挙がるのが資産管理アプリです。ただ、家計簿アプリとどう違うのか、両方入れる必要があるのか、といった点は分かりにくいところがあります。実際には機能が重なっている部分も多く、明確な線引きがあるわけではありません。
この記事では、ベストアプリナビ編集部が資産管理という目的で使うアプリについて、できることの範囲、家計簿アプリとの役割の違い、選ぶときに見ておきたい点を整理しました。なお本記事は、特定の金融商品や運用方法をすすめるものではありません。資産の把握という記録の側面に絞って説明します。
資産管理アプリでできること
資産管理アプリの中心にあるのは、いま自分がどれだけ持っているかを一つの画面に集めることです。複数の銀行口座やカード、証券口座などを登録しておくと、それぞれの残高や評価額がまとめて表示され、合計としていくらになるのかが見えるようになります。
さらに、その合計が時間とともにどう動いてきたかをグラフで見られるものが多くあります。先月と比べて増えたのか減ったのか、去年の同じ時期と比べてどうか。日々の収支では見えにくい変化が、月単位や年単位の線として現れます。資産の内訳を種類別に色分けして表示し、現金がどれくらいの割合を占めているかを確認できるものもあります。
できないこと、あるいは想定されていないことも押さえておきましょう。多くのアプリは残高や明細を参照する範囲で提供されており、アプリの中で送金や買い付けといった操作を完結させることは想定されていません。また、表示される評価額は取得したタイミングのもので、常に最新とは限らない点にも注意が必要です。
家計簿アプリとの役割の違い
両者の違いは、見ている時間の単位と、扱う数字の性質にあります。家計簿は「今月いくら使ったか」という流れを追うものであり、資産管理は「今どれだけ持っているか」という積み上がりを見るものです。前者は日や週の単位で動き、後者は月や年の単位でゆっくり動きます。
| 比べる観点 | 家計簿としての使い方 | 資産管理としての使い方 |
|---|---|---|
| 見るもの | 収入と支出の流れ | 保有している残高の合計 |
| 見る間隔 | 毎日から週に一度程度 | 月に一度から年に数回 |
| 主な目的 | 使いすぎを見つけて行動を変える | 全体の推移を把握して計画に使う |
| 手を動かす量 | 入力や分類の修正が発生する | 登録後は確認が中心 |
| 細かさ | 一件ごとの支出まで見る | まとまった単位で見る |
実際のアプリでは、この二つが一本にまとまっていることが多くあります。掲載アプリでいえば、家計簿マネーフォワード MEは銀行やカードとの連携による自動記帳に加えて、資産の推移をグラフで確認できる点を特徴として案内しています。また、Moneytreeは複数口座の残高をまとめて確認できること、入出金を自動で仕分けることを特徴として挙げており、資産の把握という用途に寄った作りになっています。
つまり、家計簿アプリか資産管理アプリかという製品の区分で考えるより、自分が今どちらの目的で数字を見たいのかを決めるほうが実用的です。目的が決まれば、同じアプリの中でもよく見る画面が変わり、必要な設定も変わってきます。
資産の把握が役に立つ場面
支出の管理と違い、資産の把握は毎日見て効果が出るものではありません。役に立つのは、まとまった判断をするときです。
- 大きな出費を検討するとき。手元にどれだけ動かせるお金があるかが分かると、判断の前提が定まります。
- 使っていない口座を整理するとき。残高の一覧を見ると、長く動いていない口座が見つかることがあります。
- 家族で今後の計画を話すとき。全体像が共有されていると、話の出発点をそろえやすくなります。
- 年に一度の振り返りをするとき。一年でどう変わったかを見ることで、来年の目安を立てやすくなります。
もうひとつ挙げられるのが、記録として残しておく価値です。資産の合計は記憶に頼ると曖昧になりやすく、去年の今ごろどうだったかを正確に思い出せる方は多くありません。アプリに登録して自動で残るようにしておけば、あとから振り返ったときに事実としての推移が手元に残ります。増減の理由を思い出す手がかりにもなります。
逆に言えば、資産の数字を毎日眺めても得られるものは多くありません。評価額は日々変動するものであり、短い期間の上下に一喜一憂すると気持ちが疲れてしまいます。確認する頻度をあらかじめ決めておくことも、続けるうえでは大切な工夫です。
選ぶときに見ておきたい点
資産の把握という目的でアプリを選ぶとき、編集部が確認するようにしているのは次の点です。
- 連携できる先の種類。銀行だけでなく、自分が使っている証券会社や電子マネーに対応しているかを確認します。
- 無料プランでの連携数の上限。登録できる件数に制限が設けられている場合があります。
- 過去データの保存期間。推移を長く見たい場合、無料の範囲で何か月分さかのぼれるかは確認しておきたい項目です。
- 手入力での追加ができるか。連携に対応していない資産を自分で登録できると、全体像に穴が空きにくくなります。
- 広告の表示。数字を落ち着いて見たい場面では、表示のされ方が気になることがあります。
掲載しているお金・家計簿カテゴリのアプリには、いずれも無料で使える範囲が用意されています。有料プランについては、MoneytreeがGrowを月390円(Web決済)、Workを月500円として案内しており、家計簿くふうZaimは年額払い時のプレミアムが月額換算365円と案内されています。金額や条件は改定されることがあるため、申し込む前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
どちらから始めるか迷ったら
支出を減らしたい、使いすぎを見つけたいという課題があるなら、まずは家計簿としての使い方から入るのが分かりやすい順番です。行動を変えるための材料が得られるのは、日々の記録のほうだからです。その場合の始め方は家計簿アプリの選び方で整理しています。
一方、支出は把握できているけれど全体像が見えないという状態であれば、資産の一覧化から始めるほうが効果を感じやすいでしょう。この場合は口座やカードの連携が前提になるため、仕組みが気になる方は口座連携の仕組みと確認しておきたいことを先に読んでおくと安心して設定に進めます。家族で資産の話をする前提で整えるのであれば、家計簿アプリを共有するときのポイントもあわせてご覧ください。
まとめ
この記事の要点を整理します。
- 資産管理アプリは複数の口座や資産の残高をまとめて表示し、合計の推移を追うことを中心に据えたものです。
- 家計簿は流れを日や週で見るもの、資産管理は積み上がりを月や年で見るものと、時間の単位が異なります。
- 実際のアプリは両方の機能を備えていることが多く、製品の区分より自分の目的で使い分けるほうが実用的です。
- 連携先の種類、無料での上限、保存期間、手入力の可否を確認してから選ぶと、あとで足りなくなりにくくなります。
ベストアプリナビ編集部では、掲載しているアプリを目的別に絞り込める一覧を用意しています。提供会社、料金、無料で試せる範囲を同じ形式で並べているため、家計の記録を重視するのか資産の把握を重視するのかを決めたうえで候補を探すときに使いやすい構成です。
