スマホに向かって英語を話すと、AIが自然な英語で返してくれる。数年前なら想像しにくかったことが、いまでは英会話アプリの標準的な機能になりつつあります。人と話すのは緊張するけれど、相手がAIなら気楽に話せそうだと感じて、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
ただ、AI英会話アプリを検討していると、期待と実際のあいだにずれが生まれやすいことにも気づきます。何でも教えてくれる万能の先生を思い描いて始めると、思っていたのと違うと感じて止めてしまう。逆に、得意なことを分かったうえで使えば、限られた時間でもかなりの練習量を積めます。
この記事では、AI英会話アプリがどんな仕組みで動いているのかをかみ砕いたうえで、できることとできないことを切り分けて整理します。編集部が実際に触りながら確認した範囲でまとめており、特定のアプリを順位づけすることはしません。使う前に期待値を合わせておくための材料として読んでいただければと思います。
AI英会話アプリは何をしているのか
細かい技術の話に立ち入らずに整理すると、AI英会話アプリの中では大きく3つの処理が順番に動いています。まず、こちらが話した音声を認識して文字に起こします。次に、その内容をもとに返答となる英文を組み立てます。最後に、その英文を音声にして再生します。この3段階が数秒のあいだに繰り返され、会話らしいやり取りが成立しています。
発音の判定は、このうち1番目の音声認識に近い部分で行われています。こちらが発した音を細かく分解し、想定される音とどれくらい離れているかを見て、どの音が不正確だったかを示す仕組みです。ELSA Speak はAIが発音を細かく判定する点を特徴として掲げており、7,000以上のレッスンを収録しています。
会話の内容を組み立てる部分については、あらかじめ場面ごとのシナリオが用意されているタイプと、その場のやり取りに応じて自由に応答するタイプがあります。AI英会話スピークバディは1,000以上のシーンを収録し、AIキャラクターと1回5分の英会話ができる形をとっています。場面が決まっていると話す内容を想像しやすく、自由度が高いと予想外の展開に対応する練習になります。どちらが良いというより、目的によって向き不向きがあります。
AI英会話アプリが得意なこと
仕組みを踏まえると、得意な領域がはっきりしてきます。編集部が確認している範囲では、次のような使い方で力を発揮します。
| できること | どう役立つか |
|---|---|
| 時間を選ばず話せる | 深夜でも早朝でも、思い立ったときに練習できる |
| 何度でも言い直せる | 同じ表現を納得いくまで繰り返しても気を使わない |
| 発音を数値や指摘で示す | 自分では気づけない音のずれを可視化できる |
| 場面を選んで練習できる | 面接や会議など、必要な状況に絞って備えられる |
| 間違いを恐れずに済む | 相手の反応を気にせず話せるので口が動きやすい |
とくに大きいのは、心理的な負担が軽い点です。人が相手だと、間違えたら恥ずかしい、沈黙が気まずいといった感覚が働き、それが練習量を減らします。AIが相手ならこの負担がほとんどありません。話す量を確保することが第一の課題である段階では、この気楽さが決定的に効いてきます。
発音の面でも、指摘が客観的に返ってくるのは利点です。人の講師であれば、細かい音のずれをすべて指摘するのは負担が大きく、会話の流れを止めることにもなります。機械であれば遠慮なく何度でも判定してくれます。この点は発音のフィードバック機能を扱った記事でも詳しく取り上げています。
苦手なこと、期待しすぎないほうがよいこと
一方で、AIが相手であることによる限界もあります。ここを理解しないまま使うと、思ったほど伸びないという感覚につながります。
- 会話が不自然に途切れたときに、うまく立て直せないことがある
- こちらの英語が伝わっているのか、それとも推測で補われたのかが分かりにくい
- 相手の表情や間合いといった、言葉以外のやり取りは練習できない
- 文法の細かい誤りを、その場で丁寧に説明してくれるとは限らない
- 雑談のように話題が飛ぶやり取りでは、噛み合わない場面が出る
とくに2つめは見落とされがちです。音声認識は、多少あいまいな発音でも文脈から推測して文字に起こすことがあります。つまり、こちらの発音が正確でなくても会話が成立してしまう場合があるということです。会話が続いたからといって伝わる英語になっているとは限らないため、発音判定の機能を別途使って確認する組み合わせが有効になります。
また、AIは基本的にこちらの発話を受け止めて返してくれるため、会話が破綻しにくい反面、実際の相手とのやり取りで起きる「聞き返される」「話を遮られる」といった場面には慣れません。人と話す練習との違いについては英会話アプリとオンライン英会話の違いを整理した記事で比較しています。
段階によって、向く使い方が変わる
できることとできないことを踏まえると、学習のどの段階にいるかで向いた使い方が見えてきます。
まったく話し慣れていない段階では、口を動かす量を稼ぐことが最優先です。ここではAI相手の練習が非常に相性よく働きます。人前で話すことへの抵抗を下げるという意味でも、最初の入り口として機能します。
ある程度話せるようになり、決まった場面なら困らなくなってきたら、想定外の展開に対応する練習が必要になります。この段階になると、人が相手のレッスンを組み合わせる価値が出てきます。新日常英会話コース – スタディサプリENGLISH のように、月額2,178円のベーシックに加えて月額6,028円の英会話セットでオンライン英会話まで含む形のサービスもあり、段階に応じて広げていく選び方ができます。
また、どの段階であっても、続かなければ意味がありません。AI相手の気楽さは続けやすさにつながりますが、それでも習慣にならなければ止まります。続け方の工夫は英会話アプリが続かない理由をまとめた記事で具体的に触れています。
料金と無料で試せる範囲を先に見ておく
AI英会話アプリの多くは、無料で一部を試したうえで有料プランに進む形をとっています。AI英会話スピークバディは基本無料に加えて1ヶ月3,980円、12ヶ月28,400円の有料プランがあり、無料体験も用意されています。ELSA Speak は無料アカウントで一部機能を使え、有料プランは月額3,380円、年額11,200円です。
金額そのものより、無料の範囲で「自分が想定している使い方」を試せるかどうかが判断の分かれ目になります。発音判定を目当てにしているなら、その機能が無料で触れるのか。特定の場面を練習したいなら、そのシーンが無料側に含まれているのか。ここを確認せずに契約すると、期待していた機能が使えず解約という流れになりがちです。
まとめ
AI英会話アプリの得意・不得意を、あらためて整理します。
- 時間を選ばず、気兼ねなく話す量を稼げるのが最大の強み
- 発音の指摘は客観的に返るが、会話が成立したことと通じることは別
- 言葉以外のやり取りや、想定外の展開への対応は練習しにくい
- 入り口としてAIを使い、慣れてきたら人との会話を足す組み立てが現実的
AIは万能の先生ではありませんが、練習量を確保するという一点においては、これまでにない手軽さを持っています。何ができて何ができないかを分かったうえで役割を任せれば、英語を話すことへの抵抗はかなり下げられます。
編集部では、英会話アプリを比較したランキングページを用意しています。AIとの会話練習に強いものから発音判定に特化したものまで、料金と無料で試せる範囲を並べてあります。自分の段階に合うのはどのタイプかを見極める材料として使ってみてください。
英会話アプリおすすめランキングTOP3を見る/他のカテゴリも見たい方は掲載アプリ一覧からどうぞ。
