受験勉強にアプリを取り入れたいものの、紙の参考書やノートをどこまで残すべきか迷う。そうした相談は少なくありません。スマートフォンは勉強道具にもなりますが、通知や動画といった誘惑がすぐ隣にある道具でもあります。使い方を決めずに導入すると、勉強時間が増えるどころか減ってしまうこともあります。
一方で、移動時間や待ち時間をそのまま学習に変えられるのはアプリの強みです。特に暗記系の科目や、講義を聞いて理解する段階では、紙の教材より扱いやすい場面があります。要は、どちらが優れているかではなく、どの場面でどちらを使うかという役割分担の問題です。
この記事では、受験勉強に学習アプリを組み込むときの考え方を、紙の教材との併用という視点で整理します。アプリが向いている場面と紙が向いている場面、併用するときに決めておきたいルール、費用や時間の管理まで扱いますので、これから導入を検討している受験生の方や保護者の方の参考になれば幸いです。
アプリと紙の教材は得意な場面が違う
まず押さえておきたいのは、両者の性質の違いです。アプリは短い時間で始められ、進捗が自動的に残り、音声や動画を扱えます。紙は書き込みの自由度が高く、一覧性に優れ、通知に邪魔されません。この違いを踏まえると、学習の段階ごとに使い分けの方針が見えてきます。
| 学習の場面 | 向いている道具 | 理由 |
|---|---|---|
| 単語や用語の暗記 | アプリ | 短時間で反復でき、正誤の記録が自動で残る |
| 講義を聞いて理解する | アプリ | 再生速度や視聴回数を自分で調整できる |
| 長文や記述の演習 | 紙 | 書き込みながら考えを整理しやすい |
| 過去問を時間内に解く | 紙 | 本番と同じ形式で解く経験を積める |
| 複数分野を見比べる | 紙 | ページを並べて全体を俯瞰しやすい |
この表は目安であり、科目や本人の得意不得意によって変わります。ただ、書く量が多い学習ほど紙の比重が上がり、反復回数が多い学習ほどアプリの比重が上がる、という傾向は多くの場合に当てはまります。迷ったときは、その学習で手を動かす必要があるかどうかを基準に考えてみてください。
アプリを使うと効きやすい時間帯
アプリの導入で最初に狙いたいのは、これまで勉強に使えていなかった時間です。通学の電車やバス、学校の休み時間、塾へ向かう前の待ち時間などが該当します。これらの時間は10分前後と短く、机が使えないことも多いため、紙の教材では手をつけにくい領域です。
逆に、家で机に向かえる時間をアプリに置き換える必要はありません。まとまった時間は演習や過去問に充てたほうが効率がよい場面が多く、そこをアプリに変えると手を動かす量が減ってしまいます。アプリは机に向かえない時間を埋める役割、と位置づけると全体の設計が崩れにくくなります。
英単語のように反復が必要な分野は、この短い時間との相性がよい領域です。たとえば株式会社mikanが提供する英語勉強アプリ mikan は、約63,000語を音声付きで収録し、TOEICや英検など目的別のコースが用意されています。4択形式でテンポよく進められる設計で、無料プランも用意されています。こうした暗記系のアプリを移動時間に固定すると、家での学習時間を演習に回しやすくなります。
動画講義をどこまで使うか
受験向けの学習アプリには、授業動画を見放題で提供するものがあります。株式会社リクルートのスタディサプリ 小学/中学/高校/大学受験講座は、小1から高3までの授業動画を視聴でき、テキストはPDFで無料ダウンロードできる仕組みです。料金はWeb申込で月額2,178円、12ヶ月一括なら21,780円で、Web申込では14日間の無料体験が用意されています。
動画講義は、理解が追いついていない単元を最初から学び直すときに使いやすい形式です。分からない部分だけ繰り返す、速度を上げて全体をさらう、といった調整が自分でできます。ただし、見ただけで理解した気になりやすいという弱点もあります。視聴後に問題を解く時間をセットで確保しておかないと、知識が定着しないまま先へ進んでしまいます。
どんな人に動画講義が向いていて、どんな場合に向かないのかは動画講義アプリのメリットと、向いていない人の特徴で詳しく整理しています。導入前に一度確認しておくと、期待とのずれを避けやすくなります。
併用するときに決めておきたいルール
アプリと紙を併用する場合、あらかじめルールを決めておかないと、どちらも中途半端になりがちです。編集部が挙げるとすれば、次のような点です。
- 科目ごとに主役を決める。英単語はアプリ、数学の演習は紙、というように担当を固定する
- アプリを開く場面を先に決める。移動中と休み時間だけ、といった形で限定する
- 学習中は通知を止める。集中モードや機内モードを使い、他のアプリが割り込まないようにする
- 間違えた問題は紙に集約する。アプリで間違えた内容も、最終的な確認は1冊のノートにまとめる
- 学習量は記録アプリで一本化する。紙とアプリで別々に管理すると全体像が見えなくなる
特に効きやすいのが、間違えた内容を1か所に集めるという運用です。アプリの誤答履歴は便利ですが、科目をまたいで一覧するには向きません。試験直前に見返すものが複数に分かれていると、確認自体が面倒になります。最終的な弱点ノートは紙で1冊、という形にしておくと直前期に慌てずに済みます。
学習量の一本化についても同様です。紙のノートに書いた時間とアプリで学んだ時間を別々に数えていると、実際にどれだけ勉強したのか分からなくなります。記録の残し方は勉強記録アプリの使い方で扱っていますので、あわせて参考にしてください。
費用と時間の見通しを立てておく
受験期は複数のサービスを併用しがちですが、月額のものが増えると支出の全体像が見えにくくなります。契約する前に、いつまで使う予定なのか、その期間で合計いくらになるのかを一度計算しておくとよいでしょう。年間一括のほうが月あたりの負担は下がる傾向がありますが、途中で使わなくなる可能性も含めて判断が必要です。
無料体験がある場合は、その期間中に実際の生活リズムで使ってみることをおすすめします。平日の朝と夜、休日と、いくつかの時間帯で試すと、続けられるかどうかの見当がつきます。体験期間の終了日を家族と共有しておくと、意図しない課金の開始も防ぎやすくなります。
時間の面でも見通しを持っておきたいところです。アプリを入れた直後は目新しさで使いますが、数週間で頻度が落ちるのは自然なことです。落ちたときにどう戻すかを含めた習慣づくりについては勉強習慣が続かない人のためのアプリ活用術で解説しています。
まとめ
- アプリと紙は優劣ではなく役割の違いで考え、手を動かす学習は紙、反復が多い学習はアプリに寄せると整理しやすくなります
- アプリは机に向かえない移動時間や待ち時間を埋める役割に置くと、演習の時間を削らずに済みます
- 動画講義は見るだけで終わらせず、視聴後に問題を解く時間をセットで確保しておきます
- 間違えた内容と学習量の記録は1か所に集約し、直前期に見返すものを分散させないようにします
- 月額のサービスは使う期間と合計費用を先に計算し、無料体験の終了日も共有しておくと安心です
編集部では、掲載しているアプリを目的別に絞り込める一覧を用意しています。授業動画が中心のもの、暗記に向いたもの、学習の記録に使えるものなどを同じ項目で並べているため、受験勉強のどの部分を補いたいかから探すことができます。
受験勉強に使えるアプリをまとめて確認したい方は、学習・資格アプリの一覧を見るからご覧ください。
